2021.07.15
  • 労働法規

テレワーク中の労災の取扱い

 

 新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークを導入している会社も増えていますが、テレワーク中に業務が原因で怪我や病気をした場合にも労災保険が適用されます。

実際に労災として認定されるには①業務遂行性②業務起因性の2つの要件を満たしていなければなりません。

 

 

●業務遂行性とは、「労働者が労働契約に基づいて業務に従事していること」を言います。作業中の用便、飲水等の生理的行為や作業中の反射的行為も含まれます。

●業務起因性とは、「業務に伴って怪我や病気をしたこと」を言います。休憩中や就業時間外の私的行為中の怪我は業務に関係していないため含まれません。

 労災認定されると考えられる例としては、「パソコンから書類を印刷するため、家庭用プリンターの準備をしている際に、プリンターを足の指に落とし、負傷した」「デスク作業中、床に落とした書類を拾おうとして、椅子から倒れて負傷した」「作業中に水分を取るため、リビングの冷蔵庫に向かう際に、廊下で転倒した」などは、就業時間中に業務に伴って負傷しているため、労災認定される可能性は高いでしょう。

 

 一方、労災認定されない例としては、「作業中に小腹が空いて、近所のコンビニに軽食を買いに行く途中、自転車にひかれ負傷した」「作業中に気分転換をするため、洗い物をしている最中に、コップを割って指を負傷した」など業務の途中で私的行為により怪我をした場合は、業務遂行性及び業務起因性は認められず労災認定されません。

 労災としての判断が難しい場合も原則通り考えます。例えば、「仕事中に窓を開けたところ、蜂が入ってきて腕を刺された」といった場合、業務中の怪我ではありますが、業務に伴った怪我とは言い切れません。ここでは状況を見て、蜂に刺されてしまう危険性が高かったかということが判断基準になります。時期や場所的に自宅近くに蜂が多く発生している場合や、自宅の前に蜂の巣ができている場合などは労災認定される可能性は高くなります。

 

 また、デスク作業中に「腰痛」になった場合は、日常生活からも腰に負担がかかっていると考えられるため、業務に伴った怪我とは言えません。業務として重いものを持ち上げた場合に、急激に腰に負担がかかり発症した場合などは労災認定される可能性もありますが、テレワーク中には通常そのような作業をすることは考えられないため、「腰痛」で労災認定される可能性は限りなく低いでしょう。似たような症状だと、「ぎっくり腰」は日常的な動作から生じたものと考えられるため、原則として労災とは認められないとされています。

ブログ_ユアサイド工藤さん
Profile
社会保険労務士法人ユアサイド
工藤 あさみ(くどう あさみ)
早稲田大学 第二文学部卒業後、平成27年社会保険労務士法人ユアサイド入職。平成29年社労士試験合格、登録。派遣会社での労務管理経験を活かし、労務相談等を行う。「親しみのある社労士」を目指して日々邁進中。

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