2021.11.30
  • 労働法規

派遣元が36協定を作成する際の留意点

派遣法では派遣労働者の労働時間、休憩、時間外・休日労働の管理について派遣先が行うこととなっていますが、時間外・休日労働をさせる場合には、派遣元で「時間外・休日労働に関する協定届」(以下、36協定届)を提出する必要があります。

36協定作成の際、派遣社員は派遣元の人数にカウントする、というルールを見ても分かる通り、派遣先の36協定の適用対象に派遣社員は含まれていません。

派遣元の36協定の範囲を超えて時間外労働等を行わせると、派遣先が労働基準法第36条違反となってしまいます。法違反を未然に防ぐためには事前に必ず情報提供を行いましょう。

36協定届は派遣先の業種、派遣先の職種の内容に合わせ作成・届出をします。

作成の際は、単に作成・届出をすれば良いということではなく、派遣先の実態に即して正しく適用される協定届を作成する必要があります。

例1)派遣先の業種が建設業、現場監督として社員を派遣


派遣先が上限規制(1ヵ月45H、年間360H)の適用猶予事業のため、限度時間の適用が無く、実態に即した時間外労働時間の設定が必要です。特に現場監督は、土曜出勤や工期の逼迫などにより時間外労働時間が45Hを超過することが考えられます。適用猶予事業は一般の業種と協定届の様式が異なりますので(様式第9号-4)、現場の実態を把握せずに通常の協定届で36協定を提出している場合は違反になる恐れがあります。

例2)派遣先で特別条項の発動が見込まれた場合


特別条項の発動には、労使で協議した方法にて事前に通告する必要があります。派遣先との情報共有が出来ていなければ、派遣従業員に対し事前に通告することが出来ず、そのまま時間外労働等を行わせ、派遣先が法違反となってしまう恐れがあります。

また、特別条項の臨時的な特別の事情は限定的なため、例えば「決算業務のため」と事由を記載している場合、通常の業務で特別条項を発動することは出来ません。そのためにも特別条項を付す場合は、派遣先にどのような臨時的な特別の事情が有り得るかを正しく把握し確認しましょう。

他にも、変形労働時間制を実施する場合も、派遣元において協定の締結や監督署への届出が必要になります。36協定と同様に、派遣先の勤務実態を正しく把握して作成や届出をしましょう。

労働時間管理は派遣先の役割ですが、派遣元には労働時間の管理を行うルールを置く必要があります。そして、そのルールに基づいた時間外労働等の制限や割増賃金の支払い義務がありますので、ルールが守られ不払いが生じないよう派遣元でも労働時間の把握、管理を適切に行いましょう。

ブログ_ユアサイド工藤さん
Profile
社会保険労務士法人ユアサイド
工藤 あさみ(くどう あさみ)
早稲田大学 第二文学部卒業後、平成27年社会保険労務士法人ユアサイド入職。平成29年社労士試験合格、登録。派遣会社での労務管理経験を活かし、労務相談等を行う。「親しみのある社労士」を目指して日々邁進中。

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