2016.07.11
  • 労働法規

今さら聞けない!
中途退職と社会保険の手続きの仕方

今年もすでに7月となりました。4月に入社された新入社員の方は研修も終わり、配属されているころでしょうか。

入社されたからには長く勤めていただいたいところですが、中には残念ながら1ヶ月も経たないうちに退社してしまう方も見受けられます。今回は、そんな同じ月に入社と退社をした方の社会保険料の精算方法を取り上げてたいと思います。

 

社会保険料取扱いの原則ルールとは?


同じ月の中で入社と退社をした従業員の社会保険料の取り扱いは、原則的な社会保険料の取り扱いと異なります。

原則的な社会保険料の取り扱いは、健康保険と厚生年金保険の両方に加入するため、健康保険料と厚生年金保険料の両方が同時にかかります。同じ月の中で入社と退社をした従業員の場合の取り扱いは異なり、その月の健康保険料はかかりますが、厚生年金保険料はかかりません。(正確には厚生年金保険料が一度徴収されますが、後日還付されます。詳細は後述の実務的取扱をご参照ください)

ケーススタディー「Aさんの場合」


ある従業員Aさんが平成28年6月1日に入社し平成28年6月15日に退職した場合、6月分の健康保険料はかかりますが、6月分の厚生年金保険料はかかりません。会社の実務とは関係ないですが、従業員Aさんは6月分の国民年金保険料を納付する必要があります。この社会保険料の取り扱いですが、平成27年10月から変更されています。平成27年9月以前に、同じ月の中で入社と退社をすると、その月の健康保険料と厚生年金保険料の両方がかかりました。またその月の国民年金保険料も別途かかります。

例えば、平成27年9月1日に入社し平成27年9月15日に退職した場合、9月分の健康保険料と厚生年金保険料の両方がかかります。従業員は給与から天引きされる形で健康保険料と厚生年金保険料の両方を納付します。また個人で9月分の国民年金保険料を納付する必要がありました。

では、実際にどのように取り扱えばいいか


平成28年6月1日入社し平成28年6月15日に退職した従業員Aさんのケースを例に取り、会社としての実務的取り扱いを説明いたします。

前述のとおり、従業員Aさんの場合、6月分の健康保険料はかかりますが、厚生年金保険料はかかりません。ですが、会社として社会保険の資格取得手続きおよび資格喪失手続きを迅速かつ適切におこなったとしても、従業員Aさんの6月分の厚生年金保険料は一度納付する必要がありますので、口座振替もしくは納付書にて、いつも通りに社会保険料を納付してください。

後日、年金事務所から従業員Aさんの6月分の厚生年金保険料を返還するという主旨のお知らせが会社に届きます。このお知らせには従業員Aさんの6月分の厚生年金保険料の還付請求書が同封されています。還付請求書には従業員Aさんの6月分の厚生年金保険料の返還方法を選択する欄があります。「①次月以降の社会保険料を減額調整することで返還する」「②還付金として請求する」の二つから選ぶことになりますので、返還方法を書面で回答してください。会社として特に理由がなければ、「①次月以降の社会保険料を減額調整することで返還する」を選んで問題はないでしょう。

従業員Aさんの給与計算ですが、他の従業員と同じく、健康保険料と厚生年金保険料の両方を控除します。6月分の厚生年金保険料が会社へ返還されたら、従業員Aさんに返金して下さい。従業員Aさんが退職後自分で国民年金への切り替え手続きを行わないと、会社に厚生年金保険料が返還されず、会社が損をする可能性があるためです。

 

まとめ

社会保険の資格喪失の日は死亡などによる喪失を除き、退職日の「翌日」とされています。したがって、月末退職の場合はその翌日である翌月1日が資格喪失日となります。 また、社会保険料は資格喪失月の前月分までのものが徴収され日割計算は行いません。

退職者本人にとっては、1日の空白もなく社会保険に加入する必要がありますので、退職日にあまりこだわりがない場合には、退職日について一度お話し合いになるのが良いかと思います。

photo Nakamiya_s
Profile
社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員
中宮 伸二郎(なかみやしんじろう)
立教大学法学部卒業後、社会保険労務士となる。2001年西崎労務経営事務所入職。07年社会保険労務士法人ユアサイドを設立。企業の人事労務相談、雇用管理改善指導を行う。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、スタッフ双方に生じやすい法的問題に精通。07年より「派遣元責任者講習」の講師としても活動している。

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