2016.08.23
  • 労働法規

第190回通常国会のおさらいとポイント

第190回通常国会においてホワイトカラーエグゼンプション等を盛り込んだ改正労働基準法は継続審議となり成立しませんでした。本国会において実務に影響のある改正は「雇用保険法等の一部を改正する法律」です。改正のポイントは以下の4項目です。

 

65歳以上の方への雇用保険の適用拡大


現在、65歳以上の方を新規採用した場合、その方を雇用保険に加入させることはできないルールになっています。このルールが変更され、平成29年1月1日以降、65歳以上の方を新規採用した場合、その方が雇用保険の加入条件(週の所定労働時間20時間かつ31日以上の雇用見込み)を満たす場合、雇用保険に加入させることになります。

現在、毎年4月1日時点で満64歳以上の労働者については、雇用保険料が免除されています。 65歳以上の方への雇用保険の適用拡大に伴い、65歳以上の方からも雇用保険料を徴収することになりますが、平成32年3月31日まで、経過措置として雇用保険料の免除が続きます。労働保険料の年度更新や給与計算など実務的な影響は、当面の間少ないと思われます。

雇用保険料率の引き下げ


平成28年4月1日以降、一般の事業の場合、13.5/1000から11/1000へ引き下げられています。これに伴い、雇用保険料の労働者負担分の料率も、5/1000から4/1000に引き下げられています。実務への影響としては、給与計算の際に徴収する雇用保険料率を変更する必要があります。もし今年の4月以降の給与計算で雇用保険料率を変更してない場合、差額を計算の上、徴収しすぎた雇用保険料を返還してください。

マタニティハラスメント防止の指針案


男女雇用機会均等法と育児介護休業法が改正され、厚生労働省はマタニティハラスメント(以下、マタハラ)防止指針案を明らかにしました。この指針案には、社内にマタハラに関する相談窓口を設置すること、就業規則にマタハラ防止を明記すること、社内報・社内ホームページでマタハラ防止について広報することが盛り込まれています。まだ指針案の段階なので、正式に決まったわけではないですが、内容に大きな変更はないと予想されます。改正男女雇用機会均等法および改正育児介護休業法は平成29年1月1日施行の予定です。

介護休業の分割取得と介護休業給付金の引き上げ


現行の介護休業の制度では、最大93日の介護休業を取得することが可能ですが、分割取得はできないルールになっています。平成29年1月1日以降、最大3回の分割取得が可能になります。

 現行、介護休業給付金は休業開始賃金日額の40%ですが、平成28年8月1日以降、給付率が休業開始賃金日額の67%まで引き上げられます。

まとめ

国会が閉会してから時間が経っていますので、すでに実務上でご対応されたケースもあるかと思います。

しかし成立した法案の中には施行までまだ余裕のあるものもあります。

いざ対応の必要がある時に、今回の記事を思い出していただければ幸いです。

photo Nakamiya_s
Profile
社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員
中宮 伸二郎(なかみやしんじろう)
立教大学法学部卒業後、社会保険労務士となる。2001年西崎労務経営事務所入職。07年社会保険労務士法人ユアサイドを設立。企業の人事労務相談、雇用管理改善指導を行う。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、スタッフ双方に生じやすい法的問題に精通。07年より「派遣元責任者講習」の講師としても活動している。