2016.10.03
  • 労働法規

最低賃金 大幅引き上げ

【最低賃金の動向】

今年も10月から最低賃金が上昇し、東京都およびその周辺では以下のようになりました。

 

東京都 :907円→932円(+25円)

神奈川県:905円→930円(+25円)

埼玉県 :820円→845円(+25円)

千葉県 :817円→842円(+28円)

※平成28年10月1日発効

 

最低賃金は上昇傾向にあり、上昇は10年以上続いています。東京都のここ数年の上昇幅は大きく、1年あたり20円前後となっています。政府は最低賃金を年3%ほど引き上げる方針を固めており、この上昇ペースが続けば、3年もしくは4年後に東京都の最低賃金は1,000円を超える見込みです。

 

最低賃金の計算の際に含めることができない賃金


最低賃金は時給で決まっています。東京都の場合、最低賃金が932円なので、事業主は労働の対価として1時間あたり932円以上を支払わなければならないことを意味します。最低賃金を計算する際には、計算に含めてもよい賃金と含めることができない賃金があります。以下の賃金を、最低賃金の計算時に含めることは出来ません。

 

①臨時に支払われる賃金(結婚手当など)

②1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

③所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)

④所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)

⑤午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)

⑥精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

最低賃金違反の具体例:月給20万円で最低賃金違反になるケース


最低賃金よりも低い時給でパートを募集するなど、明らかな最低賃金違反を見かけることはあまり見かけません。ですが、事業主が気づかないところで最低賃金違反をしているケースがあります。

 

・月給20万円で最低賃金違反となるケース

月給総額20万円の内訳

基本給:155,000円

固定残業手当:35,000円(時間外手当25時間分)

家族手当:15,000円

精皆勤手当:5,000円

 

就業場所:東京都内

労働時間:9時から18時まで(労働時間8時間、休憩時間1時間)

休日:毎週土曜、日曜、年末年始等(年間労働日数:257日 年間休日日数:108日、月の所定労働日数:21.41日)

 

上記労働条件の場合、月給20万円なので、最低賃金違反の心配はなさそうですが、固定残業手当35,000円、家族手当15,000円、精皆勤手当5,000円が支給されています。前述の通り、時間外手当、家族手当、精皆勤手当は最低賃金に含めることができません。

 

最低賃金の対象となる賃金は基本給155,000円のみです。月給制の場合、以下の計算式で時給を計算します。

 

155,000円(月給)÷21.41日(月の所定労働日数)÷8時間(1日の所定労働時間)

≒905円

 

時給が905円となります。就業場所は東京都内なので、東京都の最低賃金932円が適用され、最低賃金を下回るという結果になります。

 

派遣元事業の場合、月給制で雇用している労働者は少ないと思いますが、派遣元事業で無期雇用されている場合、月給制で雇用しているケースがあると思います。その場合、上記の労働条件で雇用していると最低賃金の違反になりますので、ご注意ください。

まとめ

 

厚生労働省では最低賃金に関する特設サイトを設けております。是非こちらもご覧ください。
photo Nakamiya_s
Profile
社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員
中宮 伸二郎(なかみやしんじろう)
立教大学法学部卒業後、社会保険労務士となる。2001年西崎労務経営事務所入職。07年社会保険労務士法人ユアサイドを設立。企業の人事労務相談、雇用管理改善指導を行う。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、スタッフ双方に生じやすい法的問題に精通。07年より「派遣元責任者講習」の講師としても活動している。