2016.12.19
  • 労働法規

年次有給休暇に関するQ&A

「休日」と「休暇」の違いについて


本題に入る前に「休日」と「休暇」の違いについて説明させていただきます。労働者からすれば、休日も休暇も同じく「休みの日」ですが、休日は「労働義務のない日」、休暇は「本来労働義務のある日について、その義務を免除された日」をいいます。ですので、休暇は本来「労働日」になります。

Q1:時給制の派遣労働者から退職日の一ヶ月前に30日分の年次有給休暇の申請がありましたが、有給休暇消化分として30日分の賃金を支払う必要はありますか?


A1:有給休暇消化分として30日分の賃金を支払う必要はありません。申請日の翌日から退職日までの労働日に年次有給休暇を取得したとして計算した賃金を有給休暇消化分として支払えば問題ありません。

【解説】

年次有給休暇ですが、年次有給休暇という名称に「休暇」と含むように、年次有給休暇も休暇の一種になります。よって、年次有給休暇を取得できる日は本来労働日である日に限ります。休日に年次有給休暇を取得することはできません。

 ご質問のケースの場合、退職日の1ヶ月前に30日分の年次有給休暇の申請があったとのことですが、申請日の翌日から退職日までの労働日に年次有給休暇を消化したとして計算した賃金を支払えば問題ありません。

 1ヶ月の労働日は通常20日前後になると思います。わかりやすくするために、この派遣労働者の退職日までの労働日はちょうど20日だとします。20日分の賃金を有給休暇消化分として支給すれば問題ありません。

 この派遣労働者は30日分の有給休暇の申請をしていますが、労働日の20日になりますので、10日分の年次有給休暇は消化できないことになります。ここから先は会社の裁量になりますが、「10日分の有給休暇が消化できないのはかわいそうだ」という話であれば、消化できなかった10日分の有給休暇を買い取ることは可能です。

Q2:始業9時の会社で出勤日当日朝7時に年次有給休暇の申請がありました。会社としては断りたいのですが、申請してきた労働者本人は「始業時刻よりも前に有給休暇を申請しているのだから問題がない」と言っています。年次有給休暇の申請を断ることができるのでしょうか?


A2:出勤日当日の朝の年次有給休暇の申請は断ることができます。

年次有給休暇は休暇の一種なので、労働日に対して取得することができます。労働日というと朝から始まり夜に終わるという感覚の方が多いかと思いますが、法律的に労働日は午前0時から24時までの24時間を指します。よって、年次有給休暇も午前0時から24時までの24時間に対して取得することになります。

年次有給休暇の取得の手続きですが、事前に取得申請をするのが原則になります。労働者の感覚としては、始業時刻の9時よりも前に申請しているので、「事前に申請している」という感覚なのかもしれませんが、前述の通り労働日は午前0時から24時間を指します。出勤日朝7時の年次有給休暇の申請は、既に労働日が始まっており、事後申請になるため会社は労働者からの年次有給休暇の申請を断ることができます。

photo Nakamiya_s
Profile
社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員
中宮 伸二郎(なかみやしんじろう)
立教大学法学部卒業後、社会保険労務士となる。2001年西崎労務経営事務所入職。07年社会保険労務士法人ユアサイドを設立。企業の人事労務相談、雇用管理改善指導を行う。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、スタッフ双方に生じやすい法的問題に精通。07年より「派遣元責任者講習」の講師としても活動している。

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